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本当のワインの愉しみ方 -N°61- ボージョレーヌーヴォー


本場の達人たちが教えてくれた
これだけは知っておきたい
「うまいワインを飲む秘訣」
– N°61 –


 

 日本国内ではワインブームが7回起きたという通説がある(1972年の第1次ブームから始まり、2012年の第7次まで)。40年間で複数回あったワインブーム。そのブームの中で、ワインの間違った飲み方が広がったことを知っている人は少ない。

 『ワインの間違った情報が広まり、また低品質のワインが安易に売られた結果、ワインの本当の美味しさを知らない人が増えてしまった。』そう話すのは、「本場の達人たちが教えてくれた 本当のワインの愉しみ方」の著者、フランスワイン専門商の加瀬利彦さん(株式会社ヴィーヴァン倶楽部:八王子市南大沢)。

 今回は、加瀬さんの著書「本当のワインの愉しみ方」より、『No61 – ボージョレーヌーヴォーについて』書いています。

 読み切りサイズのコラムになっています。ぜひ最後までワインの世界をお愉しみください。

本場の達人たちが教えてくれた
本当のワインの愉しみ方

これだけは知っておきたい「うまいワインを飲む秘訣」

著者:フランスワイン専門商 加瀬利彦
ヴィーヴァン倶楽部

-N°61-
ボージョレーヌーヴォーについて

《  目  次  》
1.世界で一番早く飲める日本
2.ブームで良し悪し問わず販売され、本当の美味しさを知らない人が増えた
3.本来の味わいを持った美味しいボージョレーヌーヴォーを体験してほしい
4.ヌーヴォーを通常のワインと同様のものと期待するのは野暮ではないか
5.美味しいヌーヴォーとは
6.加瀬オーナーが出会ったヌーヴォー
7.ヌーヴォーの「解禁日」とはその日だけではない
8.ワインは遊び心があってこそ愛好家

 

世界で一番早く飲める日本

 毎年11月の第三木曜日にボージョレーヌーヴォーが解禁される。時差の関係で、世界で一番早くボージョレーヌーヴォーを飲めるのが日本である、といったこともあり、ひと頃はバカ騒ぎのブームも起きたが、近年では落ち着きを見せている。

 ボージョレーヌーヴォーは、マセラシヨン・カルボニックという特別な手法で造られ、果実味が豊かで、タンニンは少なめというのがその特徴である。渋みが強くないので、寝かせる必要がなく、口当たりも優しく、新酒として早のみに向いている。

ブームで良し悪し問わずに販売され、本当の美味しさを知らない人が増えた

 こういった性質のため、誰が造っても、味に大きな違いがないように思われるが、実際には、造り方によって品質に違いが出てくるのは他のワインと同じである。

 問題は、ブームなどにより中身の良し悪しを問わずに売れたような時代があり、生産者側の安易な仕事ぶりと量産の結果として、品質低下を招いている部分がある。そのために、ボージョレーヌーヴォーについて、必ずしも良い印象を持っていいない人がいるかもしれない。

 一方で、通常のヌーヴォーに飽き足らず、有機農法による自然派の造りとか、古木の葡萄を使った仕込みとか、ノン・フィルターの仕上げ、といった特別仕様のボージョレーヌーヴォーを求める向きもあり、五千円どころか一万円もするような高額品もある。一部には、そういったものを求めるマニアもいる。

 人それぞれとはいえ、ボージョレーヌーヴォーに何を期待するかといえば、やはり、新酒ならではの自然な果実味の良さであろう。ところが、意外に、本当のボージョレーヌーヴォーの美味しさを味わえるものが少ないのも事実である。

本来の味わいを持った美味しいボージョレーヌーヴォーを体験してほしい

 これは、前述したように、生産者側の品質志向の低下と大量生産が主な原因ではないだろうか。理由はともあれ、本来の味わいを持ったボージョレーヌーヴォーを見つけて飲むのがなかなか大変である。

 それでも、せっかく飲むならば、一度は「これが本当の味わい」といったものを体験してほしい。そうすれば、ボージョレーヌーヴォーへの見方が変わるに違いない。

ヌーヴォーを通常のワインと同様なものと期待するのは野暮ではないか

こだわり派についていえば、どうも気になるのが、ヌーヴォーに必要以上に特別なものを求めることである。通常のワインに期待するのと同様のものをヌーヴォーに求めるのは野暮な気がする。それなら、ヌーヴォーでなく普通のワインを飲めば良い。

 ボージョレーヌーヴォーの買い付けをするときに、ある生産者のヴィラージュものを試してみたことがある。よくできたワインであったが、半年ぐらい熟成させた方がいいタイプの造りであった。これではヌーヴォーとしてすぐ飲むには適さないので選択から外した。やはり、旬のものとして早飲みできないのであれば、ヌーヴォーとしての役割を果たすことができない。

美味しいヌーヴォーとは?

 理想を言うならば、ヌーヴォーとして早飲みができて、そのあと一年くらいは美味しい状態が保てることである。実は、きちんと造ればヌーヴォーでもこうしたことが可能である。

加瀬オーナーが出会ったヌーヴォー

 数年前にそんなボージョレーヌーヴォーに出会った。早く飲んで美味しいのは言うまでもないが、一年後に出て来る次の年のヌーヴォーと飲み比べても遜色のない味わいを保っている。人によっては一年ものの方を気に入ってくれるほどである。

ヌーヴォーの「解禁日」とはその日だけではない

 ところで、ボージョレーヌーヴォーは、飛行機で到着したものを解禁日にいきなり飲むよりかは、数日でも落ち着かせて飲んだ方が美味しく味わえる。解禁日とは、その日に飲まなければいけないということではなく、その日から飲んでもよいと言う意味である。

ワインは遊び心があってこそ愛好家

 世の中には、ヌーヴォーを最初からバカにして飲まない人もいる。そこまで意地を張らずに、新酒なりの良さを気軽に楽しむという遊び心があってもいいのではないか。そんな遊びも理解できないとすれば、本当のワイン愛好家とはいえないだろう。

冒頭にも述べたように、ボージョレーヌーヴォーは、タンニンをそれほど多く含まず、渋みが強くなく飲みやすいので、見方によっては一般の人々が赤ワインの味を知るための出発点となり得る。そう思えば、それなりの価値のあるワインと考えてもよいのではないだろうか。

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