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本当のワインの愉しみ方 -N°38- シャンパンは泡が命か


本場の達人たちが教えてくれた
これだけは知っておきたい
「うまいワインを飲む秘訣」
– N°38 –


 日本国内ではワインブームが7回起きたという通説がある(1972年の第1次ブームから始まり、2012年の第7次まで)。40年間で複数回あったワインブーム。そのブームの中で、ワインの間違った飲み方が広がったことを知っている人は少ない。

 『ワインの間違った情報が広まり、また低品質のワインが安易に売られた結果、ワインの本当の美味しさを知らない人が増えてしまった。』そう話すのは、「本場の達人たちが教えてくれた 本当のワインの愉しみ方」の著者、フランスワイン専門商の加瀬利彦さん(株式会社ヴィーヴァン倶楽部:八王子市南大沢)。

 今回は、加瀬さんの著書「本当のワインの愉しみ方」より『No38 – シャンパンは泡が命か』について書いています。

 読み切りサイズのコラムになっています。ぜひ最後までワインの世界をお愉しみください。

本場の達人たちが教えてくれた
本当のワインの愉しみ方

これだけは知っておきたい「うまいワインを飲む秘訣」

著者:フランスワイン専門商 加瀬利彦
ヴィーヴァン倶楽部

– N°38 –
シャンパンは泡が命か

《  目  次  》
1.1950年代のシャンパンが与える泡とは違った「命」
2.シャンパンはどのように造られるのか
3.「泡を造る」前の大事な仕事「ワイン造りが命」

1950年代のシャンパンが与える泡とは違った「命」

 「シャンパンは泡が命」とよくいわれる。本当だろうか。

 取引のあるシャンパーニュの蔵元を幾度か訪れているが、その際、古いシャンパンをご馳走になる機会が度々あった。中には、めったにお目にかかれない1950年代のシャンパンなどを賞味させてくれるという、思わぬ恩恵にあずかったこともある。

 そんなときに飲むシャンパンはどんな具合かといえば、我々が普段目にするものとはかなり違い、泡は申し訳程度に出ているだけで、「泡が命」などという状態にはほど遠い。

 しかし、それを口に含むと、熟成を経た何とも言えない奥深い味わいを堪能させてくれると同時に、ある種の生気のようなものさえ感じられる。そこには泡が与えてくれるものとは違った「命」を見出すことができる。

 こうなると、シャンパンは泡が命、などというイメージはどこかに吹っ飛んでしまう。発泡酒というよりも、白ワインとして美味しいのである。もちろん、通常の白ワインともどこか違う。

 ここに、シャンパンならではの持ち味があるのだろう。それは泡のみがもたらすものではない。

シャンパンはどのように造られるのか

 ここで、シャンパンがどのように造られるのかをもう一度振り返ってみよう。一般に言われるシャンパン方式(METHODE CHAMPENOISE:メトード・シャンプノワーズ)である。

 生産方法としては、まず葡萄を収穫して通常通りに白ワインを造る一次発酵というプロセスがある。次に、これに糖分と酵母を加えて瓶詰めして、二次発酵を行い、そのまま熟成させる。

 この過程で泡が発生すると同時にオリが溜まる。ここで溜まったオリを最後に瓶外に放出し、その際に目減りした分をリキュールで補充して、再度瓶詰めされてシャンパンが出来上がる。

「泡を造る」前の大事な仕事「ワイン造りが命」

 このように、シャンパンの泡が発生するのは二次発酵においてであり、その前に、白ワインを造るというプロセスがある。

ここで分かるのは、シャンパン造りには、「泡」をつくる前に、「ワインを造る」という大事な仕事があるということである。

 それならば、いいシャンパンを造るためには、泡よりも、むしろ白ワイン造りが基本になるのではないかと考えられる。

 そこで、このことを蔵元の醸造責任者に訊いてみると、まさに「その通りである」との答えが返ってきた。それならば、シャンパンは、「ワイン造りが命」といってもいいのではないか。

 冒頭で述べたように、泡が微かにしか残っていないシャンパンの古酒の美味しさがそれを物語っている。いいシャンパンを見分けるには、泡に惑わされず、その背後に隠れている「ワイン造りの確かさ」を見抜くことである。 


 

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